豪州の家族法制度に関する調査委託

令和5年6月1日

豪州の家族法制度の特徴及び子の親権問題についてQ&A

本文書は、当館からの委嘱にもとづき、当地弁護士事務所が調査した2014年12月現在の内容であり、法的アドバイスではなく、あくまでも参考として掲載しているものです。

Q1. 日本で離婚手続きを行うために、子どもを連れて日本に帰国するのは問題ないでしょうか。
Q2. 共同親権とは何ですか。
Q3. 養育費はどのように決めるのでしょうか。
Q4. 相手からのDV がひどくて離婚したいのですが、離婚裁判時にDV を主張すると、相手親から子どもを遠ざけるための抗弁と思われ、不利と聞いたのですが、本当ですか。
Q5. DV が裁判で認定されるためには、どのような証拠が必要であり、また、どのような手続きが必要ですか。
Q6. 相手親が、子どもの親権を渡さないと、自分の滞在ビザに同意しない、クレジットカードを取り上げると述べ、自分を現在住んでいる国から追い出そうとしています。どのようにしたら公平に離婚および子どもの親権について協議できるのでしょうか。
Q7. 経済力がなくて、弁護士が雇えません。外国語力もないことから、離婚裁判において主張できず困っています。どうしたら良いですか。
Q8. 面会交流(Visitation)とは何ですか。なぜ、離婚した後も子どもを相手親に会わせないといけないのですか。
Q9. 離婚裁判の結果、面会交流の実施についても判決が下りました。しかし、離婚前の相手方の行動を考えると、面会交流中の子どもに対する危害が心配でなりません。どうしたら良いですか?

   
Q1. 日本で離婚手続きを行うために、子どもを連れて日本に帰国するのは問題ないでしょうか。
   国境を越えた子の移動は、相手親の了承を得ていなかったり、子の監護養育命令に反したりする場合は、ハーグ条約に則り相手親から子の返還を申し立てられる可能性があります。

 離婚や別居となり、夫婦間に子どもがいる場合は、当然子どもがどちらの親と一緒に住むかで議論になります。 日本がハーグ条約に加盟してから、子どもを日本に連れて行くことは誘拐になるのか、逮捕されるのか、別居中では無い場合や短期間の渡航であれば問題ないかなど、よく受ける質問です。ハーグ条約は「国際的な子どもの奪取の民事上の側面に関する条約」と称されているように、誘拐といった刑事上の側面は含まれていません。ハーグ条約は、子どもの利益を守ることを目的に施行された法律で、16 歳未満の「監護権の侵害」を伴う「国境を越えた子どもの連れ去り」を禁止しており、「国外に連れ去られた子どもをもとの居住国へ返還すること」を規定しています。一方で、国によっては国内法の観点から子どもの連れ去りが刑事罰の対象となる場合があります。豪州の家族法では、監護権を「監護養育責任」と称しており、父母双方に共同監護養育責任を課しています。もし一方の親が、裁判所が下した監護養育命令に背いて海外旅行や海外への転居を実行し、子を連れ去った場合は、その行為に対して最高3 年の禁固刑を課せられることもあります。

 豪州の家族法は、子どもが父母双方と「同じだけの時間」または「実質的に有意義な時間」を過ごす権利を擁護しており、それは父母が非常に近い距離にある場所に住んでいなければ合理的に実現できることではありません。このため、豪州の家族法は子どもが海外へ転居することに対しては非常に厳しい姿勢を示しています。親が別居し子どもを海外へ連れて行く、または、子どもを連れて海外へ転居することを考えているなら、必ずもう一方の親から書面で同意書、または連邦裁判所の家族法定から転居命令を取得する必要があります。

 また、子どもの意思とは関わりなく国境を越えて子どもを連れ去ることにより子どものそれまでの生活が急変し、一方の親や親族、友人との交流が断絶され、さらに、異なる言語文化環境へも適応しなければならなくなる等、子どもに有害な影響を与える可能性もあります。そのような、子どもへの悪影響から子どもを守るために、原則として、子どもがそれまで生活していた「常居所地国」に子どもを迅速に返還するための、国際協力の仕組みや、国境を越えた親子の面会交流の実現をハーグ条約は規定しています。豪州では「子どもの監護養育責任」という法原則が確立されており、裁判になれば、父母双方の弁護士とは別に、子どもの専属の弁護士 (Independent Children’s Lawyer)が就くほどに、子どもが常に法律の中心に置かれます。その点、日本では「親権」の概念が法原則としてあり、ハーグ条約に関連するニュースでも、子どもの権利よりも子どもを連れ去られた親の権利が話題の中心として取り挙げられる傾向が多分に見受けられます。しかし、ハーグ条約は何をさておいても親ではなく子どもの権利を擁護することや子どもに何らかの救済措置を施すことを第一の目的とした法律であるという点に関しては留意が必要です。
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Q2. 共同親権とは何ですか。
    豪州では日本と異なり、そもそも法原則として親権の概念を採用していません。  1995 年、Family Law Amendment Act 1995(以下「連邦家族法改正法令」)の施行以来、豪州ではそれまでの、父母の別居後、一方の親に子どもに対する権利や責任を与える監護権 (Custody) の原則が廃止され、それ以降は別居後も父母双方が平等に義務と責任を有する共同監護養育責任(Joint/shared parental responsibility)の基準が採用されました。これは、子どもとの面会交流においても同じで、豪州では、親の子どもとの面会権(Access, Visitation)という概念を排除し、子どもが父母の別居後、どちらか一方の親と同居したとしても、子どもはもう一方の親は子どもと共に時間を過ごし(Time Spent)、実質的に子どもが父母双方とも生活を共にできるよう配慮した施策を取り入れ、子どもが父母双方とも充実した交流(Communication)を持つことを目的としています。これによって、親には子どもを所有する権利があるかのようなそれまでの基準を一掃し、別居後の単独親権や監護者指定から、むしろ子どもに親と面会する権利がある「子どもの権利」へと基準が移行したと同時に、子どもが父母と平等に面会する(時間を過ごす)という取り組みが実質的に始まりました。このため現在、豪州には日本では認知されている親権や単独親権の概念はありません。

 共同監護養育責任は、子どもと居住しているか否かに関わらず、18 歳未満の子どもに適用し、実際には父親と母親とが子どもの人生に係わる大きな決断を共に話し合って決めていくことになります。子ども教育に関して取り上げると、例えば進学先の学校の選択から、スポーツや文化的な習い事の決定まで、父母双方が子どもの成長に係わり、一方の親が他方の親の関与を一方的に拒否することを禁止しています。

 その一方で、「父母双方に子どもを監護養育する義務があり、子どもは父親からも母親からも監護養育を受ける権利がある」とするのは推定理論に過ぎず、裁判になれば子どもの監護養育責任の分担は「子どもの最善の利益」を前提に審理されます。

 父母双方に子どもの監護養育責任が課されているとはいえ、それは「子どもの最善の利益」の実現の為であって、親がアルコール中毒や麻薬中毒であったり、家庭内暴力を振ったりと子どもの安全と健やかな成長に寄与しないようであれば、その親は裁判所の命令によって子どもの監護養育への関与が禁止されることもあり得ます。
 子どもにとって何が最善の利益であるかは、子どもを巡る父母間の訴訟では常に争点になります。豪州では子どもの権利を守るため、裁判所の任命によって子どもを代理する弁護士(Independent Children's Lawyer)が就けられるのが一般的です。 このため、子どもの監護養育に関する裁判で、裁判官はこの Independent Children's Lawyer の見解を重視します。
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Q3. 養育費はどのように決めるのでしょうか。
      子どもの養育費に関してはChild Support (Registration and Collection) Act 1988 (以下「子どもの養育費(登録及び徴収)法」) とChild Support (Assessment) Act 1989 (以下「子どもの養育費(算定)法」) の二つが規定しており、養育費の査定に関しては連邦巡回裁判所や家庭裁判所ではなく、豪州厚生福祉省( The Department of Human Service)のChild Support Agency (以下「CSA」)がその審査権限を有しています。金額の決定方法に関しては、まずそれぞれの親がCSA より査定を受け、金額が多い方が少ない方に差額を支払うという仕組みになっています。査定項目は、所得、他の子に養育費を支払っているか、父母それぞれが子の監護養育に費やす金額、両親の監護養育の割合(子の年齢や子と過ごす時間の長さを考慮し割合(%)で算出されます)が含まれます。査定には子どもの監護養育に関する取り決めが実質的に考慮されますので、当所の取り決めに後々変更が生じた場合、父母双方には早急にCSA に報告する義務があります。また、財政状況に変更が生じた場合や新しく子どもが生まれた場合には、CSA に養育費の見直しを申し立てることも可能です。

 両親は養育費に関してCSA の査定を受けずに私的な取り決めを交わすことも可能です。この場合、CSA が査定する金額より低い金額を受給することに同意したとしても、センターリンクから支給される養育扶養手当の支給額は増額されません。現在、豪州厚生福祉省とセンターリンクは連携して働き、父母の監護養育の分担に関しても同様の算出方法を適用しています。

 家族向税額控除給付A グループ(Family Tax Benefit Part A)による助成金を受給している場合、受給額はCSA が査定する養育費の金額を相手親から受給しているものとして、支給額を調整されます。家族向税額控除は、相手親から受けている養育費の支払いが多ければ多いほど支給額が減額されるため、助成金を受給している親は、センターリンクからCSA より養育費の査定を受けるよう求められます。養育費の申請は別居から13 週間以内に行うことができ、この機会を逃すと、家族向税額控除の支給が停止するか、支給額が自動的に減額されます。

 離婚や別居後、父母が子どもに対する共同監護養育責任を有する点については既に概説しましたが、この共同監護養育責任の概念は子どもの養育費用にも及ぶことで、豪州では子どもの両親は子どもが嫡出子か非嫡出子に関係なく18 歳になるまで、子どもを金銭的に援助する義務があるとしており、金額を決める際は子の最善の利益が何かを最大限に考慮しなければなりません。
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Q4. 相手からのDV がひどくて離婚したいのですが、離婚裁判時にDV を主張すると、相手親から子どもを遠ざけるための抗弁と思われ、不利と聞いたのですが、本当ですか。
      豪州の家族法は子どもの居住地指定や父母との面会交流を含む監護養育命令を下す際に、子どもが虐待、放任(ネグレクト)、家庭内暴力を受けていないか、若しくは家庭内暴力を目撃する環境にないか、を重要な基準にします。これは、子どもを心身の危害から保護することが目的であって、親にはこうした家庭内暴力の事実を裁判所所定の用紙に記入し、報告する義務があります。実際に家庭内暴力があったかを立証する上では、その証拠を提出することが求められます。

 豪州では、両親の共同監護養育責任と子どもが父母双方と最大限有意義な関わりを持つことを重視するあまり、子どもを家庭内暴力の被害から守る取り組みが希薄になっていたとして近年、裁判所は監護養育命令を下すに当たり、親が子どもと共に過ごす時間と家庭内暴力による被害のバランスを慎重に考慮する傾向が伺えます。

 自分の子どもがもう一方の親から家庭内暴力の被害に遭っていることを知っていたり、自分を含む家族の一員がもう一方の親から家庭内暴力の被害に遭っていることを自分の子どもが目撃して知っていたら、裁判所が監護養育命令に関し適切な判断を下せるよう家庭内暴力の事実は隠蔽せずに報告することが義務付けられています。
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Q5. DV が裁判で認定されるためには、どのような証拠が必要であり、また、どのような手続きが必要ですか。
      家庭内暴力により、子どもや自分の身に危険が及ぶ可能性がある場合は直ちに警察に連絡する必要があります。また、治安判事裁判所に申立て、「インターベンションオーダー(Intervention Order)(以下「接近禁止命令」)を得ることができます。

 これは裁判所命令で暴力の加害者が被害者に対して、これ以上の暴力を禁止する命令を下し、一定の距離以上近づかないよう命令するものです。電話やその他の嫌がらせ行為をやめさせることもでき、加害者がこれに違反することは刑事罰の対象となり、場合によっては逮捕され禁固刑を課せられる可能性もあります。また警察に被害届を出した場合、警察が接近禁止命令を申請することもあります。

 暴力があったことを証明するための証拠としては、怪我の写真、通院記録や医師の診断書、警察の被害届け、被害時の状況を記した文書、等が一般的です。
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Q6. 相手親が、子どもの親権を渡さないと、自分の滞在ビザに同意しない、クレジットカードを取り上げると述べ、自分を現在住んでいる国から追い出そうとしています。どのようにしたら公平に離婚および子どもの親権について協議できるのでしょうか。
      豪州では離婚となった場合、離婚手続き、財産分与、また子どもがいれば監護養育の取り決めに関して家族法に従って手続きを行うことになり、裁判所への申し立ては同時に三つの手続を行うことができます。財産分与に関しては、夫婦それぞれが共同資産に対して行なった貢献が見極められ、家のローンや電気代、ガス代などの公共料金、食費の支払い、家の維持や増改築に掛かった費用などの金銭的な貢献に限らず、家事や子育てといった家事奉公による非金銭的な貢献も考慮の対象になります。たとえ妻が専業主婦で収入がなく、家や貯金、クレジットカード夫名義であっても、妻にも財産分与を請求する権利が発生します。裁判を申し立てても事実審理の前に、通常は家族カウンセリングの受診を義務付けられますが、家庭内暴力等の特別の理由があればカウンセリングは免除されます。

 滞在ビザが配偶者ビザの場合は二年間の一時滞在期間を経て永住ビザが申請できます。この一時滞在期間中に配偶者との関係が破綻した場合は、ビザ保持者はそれを移民省に報告する義務があり、そうすることで配偶者やビザ保持者の意思に関わらず、一時滞在ビザは失効しビザ保持者は指定の期間内に豪州国外に退去しなければなりません。ただし、配偶者との間に子どもがいて、その子どもに対する養育監護責任がある場合や家庭内暴力により関係の破綻を余儀なくされたような場合は例外的措置として永住権の発給が認められることがあるため、移民省に問い合わせ、自分の置かれている状況がこの特別措置の対象に該当するか確認する必要があります。
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Q7. 経済力がなくて、弁護士が雇えません。外国語力もないことから、離婚裁判において主張できず困っています。どうしたら良いですか。
      豪州各地や地域のリーガルエイドでは、電話や面談による法律相談や助言を無償で提供しています。そのサービスは、オンラインの法律手引書や各種法律情報の提供、一般大衆向けの法律講座や教室の開催、家族法や家庭内暴力、子どもの福祉関連の各種サービス、家族法関連の仲裁や調停の実施や関連情報の提供、民間の弁護士を起用すればその弁護士報酬の一部経費支弁、リーガルエイド内の当番弁護士による刑事事件や家事事件の法廷代理人業務など多岐に渡ります。ただし、個人の資産状況によってはサービスが有料になることがあります。例えば、民間の弁護士に掛かった費用の一部支弁やリーガルエイドの当番弁護士の起用は申請制度を採用しており、Means Test と称する資産審査に合格することが条件になります。資産審査では、申請の時点で所有している個人のについて厳格な審査を受け、主に自宅や預金、自家用車、収入、家族からの資金援助の有無の開示が求められます。リーガルエイドの本部は通常、州都若しくはその近郊に設置されていますが、各地域にも支部が設置されています。最寄りの支部に電話を掛けるか窓口に出向いて相談すれば、状況に応じた対応が得られます。

 リーガルエイドの他にも無償で法律に関するサービスを提供している公共機関としては、コミュニティーリーガルセンター(Community Legal Centre)やプロボノ(Pro Bono)(ボランティア)支援センターがあります。CLC は政府の補助金を活動資金とする非営利法人で、リーガルエイドと同様、無償で法律相談や法律情報を提供し、一般大衆向けに法律講座や教室を開催、仲裁や調停の支援や弁護士紹介といった地域に根ざした幅広い法律扶助を提供しています。大学の法学部や法科大学院(ロースクール)と提携し、学生をボランティアに起用することも多く見受けられます。現在、ビクトリア州には50 以上のCLC があり、ほとんどが地方自治体によって運営され、一部にリーガルエイドや法務省、民間の法律事務所からの資金援助を得てサービスを提供しています。

 ナショナルプロボノリソースセンター(National Pro Bono Resource Centre)(以下NPBRC)は、連邦、各州、北部準州と首都特別地域から資金援助を得て、豪州の法律事務所に働きかけ各法律事務所のプロボノ活動を支援したり、豪州各地の法的サービスの統括等を行っています。実際にプロボノ活動を行うのは、民間の法律事務所や政府機関に所属する弁護士であって、NPBRC は業務の取次ぎなど、ボランティアとして業務を提供する弁護士のプロボノ活動を統括し、監督としての機能を果たしています。プロボノ弁護士の多くが、刑事弁護、先住民や若年層の権利保護、ホームレスや家庭内暴力の被害者の代理人弁護士としての業務に重点的に取り組んでいます。豪州連邦司法省は、民間弁護士が低報酬で提供する法律扶助もプロボノ活動に含むとして、一般大衆向けに法律に関する教育の場や情報提供を目的とした公開講義など、様々な形で民間の法律事務所も支援の手を差し延べています。 司法へのアクセスが容易に得られない、いわゆる司法過疎地にはスカイプを含め、電話会議やテレビ会議を利用したサービスも徐々に広がりつつあります。

 言語の点においては、各裁判所で日本語による通訳を就けるよう要請できる他、リーガルエイドなどの各公共機関においても提供しているサービスの範囲内で、若しくは審査基準に応じて翻訳や通訳の支援を受けられます。そうした場合も、ビザの種類や相談者の英語力によっては翻訳や通訳の支援を提供しない機関もある点は留意が必要です。 
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Q8. 面会交流(Visitation)とは何ですか。なぜ、離婚した後も子どもを相手親に会わせないといけないのですか。
       豪州では、親の子どもに対する面会交流権(Access, Visitation)を排除し、子どもが父母の別居後、どちらか一方の親と同居したとしても、子どもはもう一方の親とも時間を過ごし(Time Spent)、実質的に子どもが父親とも母親とも生活を共にできるよう配慮した施策を取り入れ、子どもが両親とも充実した交流(Communication)を持つことを目的としてます。これによって、子どもが父母と平等に面会する(時間を過ごす)取り組みが実質的に始まりました。

 子どもが父母それぞれといつどれ程の時間を過ごすかについては、何が「子どもの最善の利益」かつ「合理的に実行可能」かを最大限に考慮して決定することになります。週末や誕生日、クリスマスやイースター、父の日、母の日、祖父母との面会、学校の各行事、電話やスカイプでの通話やE メール、SMS、Line、フェイスブックなどのSNS を通した交流など、父親と母親は監護養育計画(Parenting Plan)を立て、子どもの面倒を見る上で、相当綿密で詳細な日程を立てることになります。 子どもにとって何が最善の利益であるかを検討するに当たり、豪州では子どもの権利を守るため、裁判所の任命によって子どもを代理する弁護士( Independent Children's Lawyer)が就くのが一般的です。このため、子どもの監護養育に関する裁判で、裁判官はこの Independent Children's Lawyer の見解を重視します。  
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Q9. 離婚裁判の結果、面会交流の実施についても判決が下りました。しかし、離婚前の相手方の行動を考えると、面会交流中の子どもに対する危害が心配でなりません。どうしたら良いですか?
       豪州では裁判で監護養育命令が下された後も、子どもの虐待や家庭内暴力に関する支援施設を利用することができます。そうした支援施設に相談すれば、状況に応じた対応が得られます。

 豪州の家族法は子どもの両親が平等な共同監護養育責任を有するとしていますが、これは推定論であって、当該推定は子どもの最善の利益に適うものではないと証明された場合その根底は崩れるとしています。連邦家族法第60 条B(1)(b)項にあるように、子どもを虐待、放任(ネグレクト)若しくは家庭内暴力を受ける、または目撃することによる心身の危害から保護することは子どもの最善の利益につながるとしています。このように、裁判所は個人が家庭内暴力の危険にさらされないよう最善の注意を払い、子どもの監護養育命令を下していますが、子どもや親の状況や生活環境は常に変化するため、裁判所の命令に疑問が生じた時は、裁判所に監護養育命令の変更を申し出ることもできます。  
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