海外安全対策情報
平成26年10月13日
海外安全対策情報
(平成26年7~9月)

1 社会・治安情勢
9月12日,オーストラリア政府はオーストラリア国内のテロ警戒レベルを「中位(Medium)」から「高位(High)」(4段階のうち上から2番目)に引き上げた。9月18日,オーストラリア連邦警察はテロリストの一斉摘発を行い,シドニー郊外でテロ攻撃を計画した容疑で15人の身柄を拘束した。発表によると,拘束されたのはオーストラリアで個人に対する無差別攻撃を計画していたグループで,攻撃は未然に防ぐことができたが,同警察は市民に対して今後も警戒を怠らないよう呼び掛けている。9月23日には,メルボルン郊外において18歳の男性テロ容疑者が警察官2人を刺し,警察官によって射殺される事件が発生した。同人が何らかのテロ攻撃計画に関与していたかは不明であるが,最近旅券の失効を受けた一連の人物の一人であり,警察当局の捜査対象の一人とされていた。
2 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向
(1)ビクトリア州
2001年以降一貫して減少傾向であった犯罪発生総件数は 2010-2011会計年度に増加に転じ,その後も引き続き増加傾向が続いている。
ビクトリア州警察の最新の犯罪統計(2013年7月1日~2014年6月31日)によれば,犯罪発生総件数は,前年の同時期と比較して5.7%増加となる433,718件であり,主に薬物犯罪,暴行・傷害,自動車・オートバイ窃盗の増加が,総件数増加の要因となっている。
<主な犯罪種別の内訳>
強盗 2,587件(前期比8.5%減)
暴行・傷害 46,912件(同1.7%増)
空き巣 28,515件(同1.3%減)
自動車・オートバイ盗 16,320件(同11.3%増)
薬物犯罪 23,444件(同8.6%増)
(2)南オーストラリア州
2000-2001会計年度以降,犯罪発生総数は,ほぼ一環して減少傾向にあり,治安状況は概ね良好であるが,人口比で比較すると,強盗,暴行・傷害,空き巣等の発生率が他州と比較して高い傾向にあり,注意を要する。
南オーストラリア州警察の最新の犯罪統計(2013年9月1日~2014年8月30日)によれば,犯罪発生件数は104,665件で,前年同時期と比較して6%減少した。主な犯罪は減少傾向にあるが,性犯罪に関しては増加傾向にあり,特に,夜間外出時には十分な注意が必要である。
<主な犯罪種別の内訳>
強盗 798件(前期比21%減)
暴行・傷害 15,943件(同2%減)
性犯罪 1,906件(同10%増)
住居侵入 8,494件(同15%減)
自動車・オートバイ盗 3,356件(同15%減)
(3)タスマニア州
犯罪発生件数は1997-1998年度以降,ほぼ一貫して減少傾向であったが,2013-2014会計年度は増加に転じた。タスマニア州警察の最新の犯罪統計(2013年5月1日~2014年6月30日)によれば,犯罪発生総件数は24,567件で,前年同時期と比較して3.8%増加している。
<主な犯罪種別の内訳>
強盗 97件(前期比26.5%減)
空き巣 1,498件(同6%減)
自動車・オートバイ盗 1,235件(同6.3%増)
薬物犯罪 2,486件(同4.9%減)
(4)邦人被害事案
メルボルン市内を中心に,すりや置き引き被害が発生している。特に,スワンストン通り等の観光客が多く集まる地域の飲食店内,空港へのバス停留所,図書館などで,手荷物から目を離した隙に鞄や財布を窃取される事件が続いている。
人で混み合う公共交通機関内や店内などでは,背負っていたリュックサックから財布をすり盗られる被害も複数報告されている。
また,過剰な飲酒による暴行事件が増えており,邦人が被害に遭った報告もされている。
(5)邦人以外の被害事案
特異事件の認知はなし。
3 テロ・爆弾事件発生状況
上記1.のとおり,オーストラリア警察は9月12日に国内のテロ警戒レベルを①Low,②Medium,③High,④Extremeの4段階のうち②Mediumから③High(テロ攻撃の可能性が高い(Likely))に引き上げた。9月18日のテロリストの一斉摘発等により,現時点で実際のテロ攻撃や爆弾事件等は発生していないが,引き続き警戒が必要な状況にある。
4 誘拐・脅迫事件発生状況
邦人の被害,その他特異な事件は認知していない。
5 在留邦人,日本企業の安全に関わる諸問題
一般的に対日感情は良好であるが,我が国の調査捕鯨及びイルカ漁に対する抗議行動は今後とも行われる可能性が高く,注意が必要である。
現在までのところ,日本企業の安全に対する脅威となり得る問題は認められていない。