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海外安全対策情報

平成26年1月09日

海外安全対策情報
(平成25年10~12月)

1 社会・治安情勢
  ビクトリア州では,昨年3月に主要バイクギャング間の対立抗争が表面化し,メルボルン郊外において,ギャングの幹部が銃撃される等の事件に発展している。抗争の過程では自動小銃や爆発物が使用されており,一般市民への被害拡大も懸念されている。


2 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向
(1)ビクトリア州
  治安状況は概ね良好であるが,2001年以降一貫して減少傾向であった犯罪発生総件数は2010-2011会計年度に増加に転じて以降,引き続き増加傾向が続いている。
  ビクトリア州警察の最新の犯罪統計(2012年10月1日~2013年9月30日)によれば,犯罪発生総件数は,前年の同時期と比較して4.6%増加となる414,762件であり,主に薬物犯罪(10.8%増加),暴行・傷害事件(5.9%増加)の発生件数の大幅増加が,総件数増加の要因となっている。

<主な犯罪種別の内訳>
 強盗             2,739件(前期比16.8%減)
 暴行・傷害        46,267件(同5.9%増)
 空き巣           28,642件(同3%減)
 自動車・オートバイ盗 14,366件(同10.2%減)
 薬物犯罪            21,792件(同10.8%増)

(2)南オーストラリア州
  2000-2001会計年度以降,犯罪発生総数は,ほぼ一環して減少傾向にあり,治安状況は概ね良好であるが,人口比で比較すると,強盗,暴行・傷害,空き巣等の発生率が他州と比較して高い傾向にあり,注意を要する。
  南オーストラリア州警察の最新の犯罪統計(2012年12月1日~2013年11月30日)によれば,犯罪発生件数は109,418件で,前年同時期と比較して4%減少したものの,暴行・傷害事件や性犯罪が増加傾向にあり,特に,夜間外出時には十分に注意が必要である。

<主な犯罪種別の内訳>
 強盗              841件(前期比20%減)
 暴行・傷害        16,178件(同2%増)
 性犯罪          1,746件(同9%増)
 住居侵入        9,470件(同8%減)
 自動車・オートバイ盗  3,967件(同17%減)

(3)タスマニア州
  犯罪発生件数は1997-1998年度以降,ほぼ一貫して減少傾向にあり,治安状況は良好であるが,自宅の施錠や深夜の一人歩きを避けるなど,一般的な防犯に心がける必要がある。
  タスマニア州警察の最新の犯罪統計(2012年11月1日~2013年10月31日)によれば,犯罪発生総件数は23,400件で,前年同時期と比較して2.8%減少した。

<主な犯罪種別の内訳>
 強盗             131件(前期比増減なし)
 空き巣          1,550件(同6.6%減)
 自動車・オートバイ盗 1,161件(同17.3%減)
 薬物犯罪         1,143件(同4.2%増)

(4)邦人被害事案
  メルボルン市内を中心に,すりや置き引き被害が続発している。特に,スワンストン通り等の観光客が多く集まる地域において,飲食店内,空港へのバス停留所,図書館などで,手荷物から目を離した隙に鞄や財布を窃取される事件が相次いでいる。
  人で混み合う公共交通機関内や店内などでは,背負っていたリュックサックから財布をすり盗られる被害も複数報告されている。
  短期滞在の邦人女性を標的とした高額寸借詐欺事件が続発している。親切心を装って接近し,「今だけお金に困っている。当座の資金を貸してほしい」と現金を詐取する手口が特徴的である。

(5)邦人以外の被害事案
  12月,深夜未明のメルボルン市内中心部の公園内にて,未成年者強盗団による強盗事件が発生し,被害に遭ったインド系男性のうち1名が集団から執拗に暴行を加えられて意識不明の重体に陥った。報道によれば,同強盗団はインド系等の,外見上,腕力が強くなさそうな被害者を主要ターゲットにしているとのことであり,深夜の外出には注意を要する。


3 テロ・爆弾事件発生状況
  豪州政府の現在のテロ警戒レベル(Alert Level)は,①Low、②Medium、③High、④Extremeの4段階のうち②Medium(テロ攻撃が発生する可能性がある)であるが,過去にはメルボルンでもテロ未遂事件が検挙されており,昨年9月にも,メルボルンのイスラム教関連施設等に対する警察の捜索により,関係者1名が逮捕され,爆発物の製造方法が記された資料,複数の銃器等が押収されており,テロに対する一般的な警戒は必要である。


4 誘拐・脅迫事件発生状況
  邦人の被害,その他特異な事件は認知していない。


5 在留邦人,日本企業の安全に関わる諸問題
  総体的に対日感情は良好であるが,我が国の調査捕鯨及びイルカ漁に対する抗議行動は盛んであり,今後とも,当地でも抗議行動が行われる可能性が高い。
  現在までのところ,日本企業の安全に対する脅威となり得る問題は認められないが,当地では環境問題,労働争議等に関する抗議行動が盛んに行われており,動向に注意を要する。