海外安全対策情報
平成25年10月03日
海外安全対策情報
平成25年度第2四半期(平成25年7~9月)

1 社会・治安情勢
ビクトリア州において,主要バイク・ギャングが対立組織に宣戦布告を行い,対立抗争の激化が懸念されている。メルボルン郊外でギャングの幹部,関係店舗などが銃撃され,犯行には自動小銃や爆発物も使用された。一般市民に被害が及びかねないとして,同州警察が取締りを強化している。
2 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向
(1)ビクトリア州
治安状況は概ね良好であるが,2001年以降一貫して減少傾向であった犯罪発生総件数は2010-2011会計年度に増加に転じて以降,引き続き増加傾向にある。
ビクトリア州警察の最新の犯罪統計(2012年7月1日~2013年6月31日)によれば,犯罪発生総件数は,前年の同時期と比較して3.4%増加となる406,497件であり,薬物犯罪,暴行・傷害事件の発生件数の大幅増加が,総件数増加の要因となっている。
薬物犯罪のなかでも「ICE」等と呼ばれる覚せい剤に関する犯罪が2,034件と全体の約40%を占め,前年比54.4%増加と大きな増加が見られる。薬物依存とそれにより引き起こされる犯罪は深刻な問題となっている。
<主な犯罪種別の内訳>
強盗 2,815件(前期比14.2%減)
強姦 1,985件(同3.1%減)
暴行・傷害 46,122件(同10%増)
空き巣 28,915件(同1.1%減)
自動車・オートバイ盗 14,671件(同6.2%減)
薬物犯罪 21,469件(同14%増)
(2)南オーストラリア州
2000-2001会計年度以降,犯罪発生総数は,ほぼ一環して減少傾向にあり,治安状況は概ね良好であるが,人口比で比較すると,強盗,暴行・傷害,空き巣等の発生率が高くなっており,注意を要する。
南オーストラリア州警察の最新の犯罪統計(2012年8月1日~2013年7月31日)によれば,犯罪発生件数は111,969件で,前年同時期と比較して3%減少した。
<主な犯罪種別の内訳>
強盗 910件(前期比12%減)
暴行・傷害 16,283件(同2%増)
性犯罪 1,671件(同5%増)
住居侵入 10,124件(同増減無し)
自動車・オートバイ盗 4,037件(同9%減)
(3)タスマニア州
犯罪発生件数は1997-1998年度以降,ほぼ一貫して減少傾向にあり,治安状況は良好であるが,自宅の施錠や深夜の一人歩きを避けるなど,一般的な防犯に心がける必要がある。また,少年犯罪の発生率が豪州国内で二番目に高くなっており,注意を要する。
タスマニア州警察の最新の犯罪統計(2012年7月1日~2013年6月31日)によれば,犯罪発生総件数は23,454件で,前年同時期と比較して4.2%減少した。
<主な犯罪種別の内訳>
暴行・傷害(公共場所) 823件(前期比13.3%減)
強盗 132件(同4.7%増)
空き巣 1,594件(同5.4%減)
自動車・オートバイ盗 1,161件(同19%減)
薬物犯罪 2,604件(同3.5%減)
(4)邦人被害事案
メルボルン市内を中心に,すりや置き引き被害が続発している。特に,スワンストン通り等の観光客が多く集まる地域において,飲食店内,空港へのバス停留所,図書館などで,手荷物から目を離した隙に鞄や財布を窃取される事件が相次いでいる。
人で混み合う公共交通機関内や店内などでは,背負っていたリュックサックから財布をすり盗られる被害も複数報告されている。
短期滞在の邦人女性を標的とした高額寸借詐欺事件が続発している。親切心を装って接近し,「今だけお金に困っている。当座の資金を貸してほしい」と現金を詐取する手口が特徴的である。
(5)邦人以外の被害事案
特異事件の認知はなし。
3 テロ・爆弾事件発生状況
豪州政府の現在のテロ警戒レベル(Alert Level)は,①Low、②Medium、③High、④Extremeの4段階のうち②Medium(テロ攻撃が発生する可能性がある)であるが,過去にはメルボルンでもテロ未遂事件が検挙されており,昨年9月にも,メルボルンのイスラム教関連施設等に対する警察の捜索により,関係者1名が逮捕され,爆発物の製造方法が記された資料,複数の銃器等が押収されており,テロに対する一般的な警戒は必要である。
4 誘拐・脅迫事件発生状況
邦人の被害,その他特異な事件は認知していない。
5 在留邦人,日本企業の安全に関わる諸問題
総体的に対日感情は良好であるが,我が国の調査捕鯨及びイルカ漁に対する抗議行動は盛んであり,今後とも,当地でも抗議行動が行われる可能性が高い。
現在までのところ,日本企業の安全に対する脅威となり得る問題は認められないが,当地では環境問題,労働争議等に関する抗議行動が盛んに行われており,動向に注意を要する。