注意すべき感染症
総領事館からのお知らせ(9月号)
平成20年08月25日
在メルボルン総領事館
注意すべき感染症
オーストラリア国内においては現在のところ注意すべき感染症は見られませんが、諸外国では多種の感染症が見られます。現在、諸外国において注意すべき主な感染症については、以下のとおりです。
1.動物由来感染症
動物との接触によって人が感染する病気です。
(1)H5N1型鳥インフルエンザ
H5N1型鳥インフルエンザは、東南アジアから欧州、アフリカへと拡大し、トリからヒトヘの感染事例も増加しています。世界保健機関(WHO)によると、2003年11月以降、世界15カ国で385人が感染し、うち243人が死亡したことが確認されています(2008年6月19日現在)。
鳥インフルエンザは、感染した鳥の解体調理、飼育小屋などの閉鎖的な空間における感染した鳥との接触など、鳥の臓器、体液、糞などと濃厚に接触することによってまれにヒトに感染することがあります。
- 発生地域(ヒトヘの感染):東南アジアを中心に欧州、中東、アフリカの一部地域など
- 感染要因:感染した鳥やその臓器、体液、糞などとの濃厚な接触
- 主な症状:1〜10日(多くは2〜5日)の潜伏期間ののち、発熱、呼吸器症状、下痢、多臓器不全等
- 感染予防:鳥との接触を避け、むやみに触らない。生きた鳥が売られている市場や養鶏場にむやみに近寄らない。マスクの着用、うがい手洗いの励行。
(2)狂犬病
狂犬病は、感染動物(主に犬)に咬まれることよってそれらの唾液からウイルスに感染し、長い潜伏期の後に発症します。発病すると、有効な治療法はなくほぼ100%死亡します。世界における死者数は毎年5万5千人といわれています。
- 発生地域:世界のほとんどの地域。特にアジア、アフリカ(発生がない地域は、英国、北欧、豪州、台湾、ハワイ、グアムなど一部)。
- 感染要因:動物(特に犬が多いですが、ネコ、アライグマ、キツネ、スカンク、コウモリ等からの感染も見られます。)からの咬傷など
- 主な症状:1〜3ヵ月の潜伏期間の後、発熱、咬まれた場所の知覚異常、恐水・恐風症状、神経症状。
- 感染予防:動物(特に野犬)との接触を避ける。もしも犬などから咬傷を受けた場合は、速やかに医療機関で受診し、消毒、暴露後予防接種などを受ける。 感染後、直ちにワクチン接種等による治療を開始することにより狂犬病の発症を防ぐことができます。万一、犬などの動物に咬まれた場合は、すぐに傷口を石けんと水でよく洗い、できるだけ早く医療機関で受診し、傷口の消毒や必要に応じて狂犬病ワクチンの接種を受けましょう。
(3)エボラ出血熱
- 発生地域:アフリカ(中央部〜西部)
- 感染要因:感染したサルの血液、分泌物、排泄物、唾液などとの接触でも感染する可能性はありますが、ウイルスを保有する未知の自然宿主が媒介すると考えられています。
- 主な症状:2〜21日の潜伏期ののち、発熱、頭痛、下痢、筋肉痛、吐血、下血など。インフルエンザ、チフス、赤痢等と似た症状を示します。
- 感染予防:流行地への旅行を避ける。野生動物との接触に注意する。
2.蚊など節足動物を介して感染する感染症
(1)マラリア
毎年世界中で数億人の患者、150万〜270万人の死者がいると報告されています。
- 発生地域:アジア、中南米、アフリカなど熱帯・亜熱帯地域に広く分布
- 感染経路:マラリア原虫を保有した蚊に吸血された際に感染します。媒介蚊は森林地帯を中心に夜間に出没する傾向。
- 主な症状:病原原虫の種類により10日〜30日の潜伏期ののち、悪寒、発熱、顔面紅潮、呼吸切迫、結膜充血、嘔吐、頭痛、筋肉痛など。迅速かつ適切に対処しなければ重症化し死亡する危険があります。
- 感染予防:被服や防虫スプレー等により、特に夜間の外出時に蚊に刺されないよう注意してください。
(2)デング熱、デング出血熱
毎年世界中で約5,000万〜1億人の患者が報告され、そのうち約25万人が重症化しやすいデング出血熱を発症していると推定されています。
- 発生地域:アジア、中南米、アフリカなど熱帯・亜熱帯地域に広く分布。
- 感染要因:ウイルスを保有した蚊に吸血された際に感染します。媒介蚊は日中、都市部にも出没します。
- 主な症状:突然の発熱、激しい頭痛、関節痛、筋肉痛、発疹。デング熱患者の一部は重症化して出血傾向がみられるデング出血熱となることがあります。
- 感染予防:被服や防虫スプレー等によって、日中蚊に刺されないように注意してください。
(3)ウエストナイル熱・脳炎
鳥と蚊で感染が維持されている感染症です。北米地域で毎年数千人の感染者が報告されています。感染者の一部は重症化し脳炎を起し、まれに死亡することもあります。
- 発生地域:アフリカ、欧州南部、中東、アジア、近年では北米地域、中南米にも拡大しています。
- 感染要因:ウイルスを保有した蚊に吸血された際に感染します。媒介する蚊は多種類に及びます。
- 主な症状:2〜14日(通常2日〜6日)の潜伏期のち、発熱、激しい頭痛、関節痛、筋肉痛、背部痛、皮疹など。
- 感染予防:被服や防虫スプレー等によって、日中蚊に刺されないように注意してください。
3.食べ物、水を介した感染症
かかる可能性のある感染症はさまざまですが、最も多いのは食べ物や水を介した消化器系の感染症です。A型肝炎、コレラ、赤痢などは熱帯・亜熱帯地域で感染することが多い感染症です。生水、氷、サラダ、生鮮魚介類等、十分に熱処理がされていない物の飲食に注意してください。
※ 上記の情報は外務省「海外安全ホームページ 夏休みに海外へ渡航される皆様へ(海外での注意すべき感染症について)」
http://www.anzen.mofa.go.jp/info/info.asp?num=2008C250
に詳しく掲載されています(9月30日まで)。