海外旅行保険の重要な役割 / 心の病
総領事館からのお知らせ(5月号)
平成20年04月23日
在メルボルン総領事館
1 海外渡航者の命綱 〜 海外旅行保険の重要な役割
海外旅行中、例え万全の注意を払っていても事件や事故に巻き込まれる可能性がないとは言えません。また、健康に自信があっても、不幸にも事故や事件、病気や怪我で医療機関にお世話になる可能性があります。その時に海外旅行者の命綱となるのが海外旅行保険です。
日本では医者知らずの健康な方でも、海外滞在中は日常生活とは異なる環境や過密な旅行日程、普段とは違った食事などからストレスが生じ心身に影響を及ぼし、病気になったり怪我をすることがあります。また、日本とは異なる治安状態や交通事情により、事件や事故に遭遇してしまうこともあります。海外旅行では医療サービスを必要とする要素が沢山あることを十分に認識しておく必要があります。
日本と海外とでは医療事情がずいぶんと違います。そこで海外で医療サービスを受けるために、その違いを知っておく必要があります。国によっては、前金や支払い保証がなければ急患であっても対応してもらえないケースがあります。また、十分な医療サービスを受けるためには、日本と比べ高額な医療費を支払わなければならないことがあります。
例えば、盲腸でも海外では日本に比べかなり高額な医療費となります。
盲腸で入院した場合の都市別総費用比較(保険会社調べ)
ホノルル | 258万円 |
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ロサンゼルス | 188万円 |
ロンドン | 149万円 |
バリ(インドネシア) | 83万円 |
日本 | 40万円 |
また、救急医療室の利用や緊急移送、医師や看護士の同伴する帰国を行う場合には、極めて高額な医療費が必要となることを覚悟しなければなりません。海外で医療サービスを受けるためには、十分な補償額の海外保険に加入しておくことが必要です。加入していないと、自分自身が正常な判断を下せない様な事態となった場合、家族などが支払い可能な金額で治療方針を判断しなければならなくなり、苦渋の選択を迫られるケースもでてきます。
渡航者で海外旅行保険に加入している人が必ずしも多くないように見受けられます。当館においてこれまでに取り扱ったケースをみると、特にワーキング・ホリデー・ビザで滞在している人が海外旅行保険に加入していないケースを多く見かけます。その多くの理由は、費用がもったいない、クレジット・カードに付帯されている保険で十分というものです。しかし、クレジット・カードの治療費限度額は少なく、ゴールド・カードでも200万円程度です。内容をよく確認しておきましょう。また、オーストラリアは、医療が発達していますが、他の国では重い病気や重傷の怪我を負った場合、その国の医療機関では対応できない場合もあり、近隣の国の病院への緊急移送の事態も想定して、緊急移送サービスの付いた海外保険への加入を強くお勧めします。
「自分だけは事件・事故に遭わない。」「病気や怪我もしない。」と思い込んでいませんか。海外旅行保険に加入していないと、いざという時に家族や周りの友人につらい思いをさせてしまうことになります。一命は取り留めたが、その後の莫大な経済的負担を背負うことにもなりかねません。海外を旅行するときは、海外旅行保険に加入しておきましょう。
2 心の病
当館で支援を行うケースとして、精神疾患により病院に緊急入院し、滞在日程半ばで帰国しなければならないケースが増えています。原因は、生活環境の違い、英語環境の中でのプレッシャーなどによるものと思われます。
精神疾患で緊急入院した場合、容態が落ち着いた段階で日本から家族等に迎えに来てもらい家族同伴で帰国すること、帰国後日本で治療を継続することを条件に退院するケースが殆どです。
周囲の人で、最近、塞ぎ込んでいたり、元気がなかったり、口数が極端に少なくなったり、様子がおかしい人がいた場合、専門の医療機関でカウンセリングを受ける等、早い段階での対応をお勧めします。