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豪州におけるテロ概況 / 日本人・日本権益に対する脅威他

総領事館からのお知らせ(3月号)

平成20年02月15日

在メルボルン総領事館

1 豪州におけるテロ概況

(1) オーストラリアにおいては、近年、重大なテロ事件は発生したことがなく、2007年中もテロと見られる事件の発生はありませんでした。また、オーストラリアは、2007年APECの開催国であり、9月のシドニーにおける首脳会議まで各地で関連会議が開催されましたが、APECに関連したテロ事件や暴力的な抗議活動は見られませんでした。

(2) しかしながら、2001年9月11日の米国同時多発テロ以降、特にアフガニスタン及びイラクにおける軍事行動にオーストラリアが参加した後は、国内外のオーストラリア権益がテロのターゲットになるおそれがあるとして警戒が強められ、アル・カーイダ関係者を中心としたイスラム過激派の動向に注意が払われています。

(3) 2002年10月にインドネシアのバリ島で発生したアル・カーイダとつながりのあるイスラム過激派ジェマ・イスラミーヤによる爆弾テロ事件では、多数のオーストラリア人が犠牲となりました。また、2004年9月には、同じインドネシアのジャカルタにあるオーストラリア大使館を狙った爆弾テロ事件も発生しています。さらに、2005年10月にも、再びバリ島で同時多発自爆テロ事件が発生し、オーストラリア人が犠牲となりました。

(4) これらのテロ事件の発生を受けてオーストラリアはインドネシア当局の捜査に積極的に協力するとともに、オーストラリア国内におけるテロ対策を強化して国内での同様のテロ事件の発生防止に努めています。

(5) こうした中で、2005年から2006年にかけて、シドニーとメルボルンで捜査当局による大規模な摘発が行われ、国内在住のイスラム過激派グループ合計22名がテロを計画した容疑で検挙されています。

(6) このほか、海外テロ組織の軍事キャンプでの訓練に参加したとして当局に検挙されたオーストラリア人もおり、テロ組織の宣伝に感化された国内在住の過激なイスラム教徒が、国内でテロを敢行することが懸念されています。

(7) なお、オーストラリア政府は国内におけるテロの脅威を最高位、高位、中位、低位の4段階に分けて評価してテロ対策関係機関によるテロ対策の準備の目安とするテロ脅威警報制度を設けてこれを公表しています。それによると現在の警報レベルは中位(テロ攻撃が発生し得る)と位置付けられています。

2 日本人・日本権益に対する脅威

 現在までのところ、日本人・日本権益を標的としたテロや誘拐等の脅威は特に認められません。
 しかしながら、オーストラリアはアル・カーイダを始めとするイスラム国際テロ組織からテロ攻撃の可能性を示唆されていることに加え、国内のイスラム過激派によるテロ計画の存在も明らかになったことを考慮すると、巻き添え等偶発的な被害に遭う可能性もあり、大勢の人が集まる場所では警戒する、周囲の状況に注意を払うなど安全確保に十分留意する必要があります。
 また、オーストラリアでは環境問題への関心が高く、環境保護団体が活発な活動を展開している中、2007年は国民の間に人気が高いザトウクジラが調査捕鯨の対象に加えられたことや、調査捕鯨船団が日本を出港した時期が連邦選挙戦終盤と重なったことなどから、例年以上に日本の調査捕鯨が大きく取り上げられています。反捕鯨団体などの抗議活動がテロにまでエスカレートする可能性は低いと見られますが、抗議活動の現場には近づかない等、十分な注意が必要です。また、捕鯨活動に関する報道に触発された者による嫌がらせなども懸念されます。

3  調査捕鯨に対する抗議活動

 我が国の調査捕鯨に対する抗議活動等に関連し、次の様なことに留意して下さい。

 また、抗議活動等を受けた場合は、当館までご連絡下さるようお願い致します。